ベトナム戦争の遺したもの
ベトナム戦争ほどアメリカ人の国民感情を傷つけ、「全能のアメリカ」に対する疑念を生み出したことはありませんでした。
さらにこのときほど、アメリカ人の価値観を揺るがせ、単に反戦運動ばかりでなく、広範な対抗文化の反抗、女性解放運動、都市における黒人暴動、学生の反乱にまで拡大したこともありませんでした。
ベトナム戦争を契機に、これまで「豊かさ」のなかに隠されていたアメリカ社会の暗黒面は、一挙にさらけ出されました。
このことは煎じ詰めれば、ドルによって象徴された国際的地位と繁栄にかげりが現れたことであり、アメリカの威信を深く傷つけることになりました。
・・・とりわけ、何といってもアメリカの世界経済における支配力の後退を端的に示したのは、ドルの価値の低落でした。
第二次大戦後の世界経済発展の礎石は、ドルであったことはいうまでもないでしょう。