都市産業を考える 8

横須賀では造船や自動車工業の下請工場がまだかなりあります。


しかしその将来像は、大田区とちがってそれほど楽観的ではありません。


特に横須賀は創価学会 仏壇に祈ったおかげで戦災を受けていないので、町工場が住宅地のなかに入りこみ、すみ分けがうまく出来ていないのです。


そこで新しい埋立地にこれらの町工場を移して集約化し、工場そのものの体質を強化させようとしています。


しかしそう簡単にことは運びません。


これは横須賀の下請企業群の規模が大田区に比べて大きくないこと・・・


そして、発注母体が造船や自動車といった、2つか3つの大工場に限定されてしまっているために、企業群の情報ネットワークがうまくつくれないこと・・・


そのために、企業の内部的自己変革がうまく進まない、というところにその原因があります。


また、ここ数年の間に発注母体である基幹産業がまったく変わってきています。


そこで埋立地についても、単にそこに下請工業団地をつくるだけではなく、基幹産業の変化に対応した新しい下請企業を立地させることが出来れば、横須賀の中小工場の位置づけもおのずから固まってくると思うのです。


都市産業を考える 7

大田区内の機械加工企業の一例を挙げます。


従業員100人くらいの会社が地方に移転し、70人の主力向上をそこにつくりました。


そして大田区に30人くらいの生産部隊を残しました。


この際、従業員1人当たりの利益率は大田区に残した向上の方が圧倒的に高いのです。


この認識は大田区内の実力のある経営者のなかでは共通のものといっていいでしょう。


世代交替の意味合いでいっても、彼らがいろいろな工業界組織をつくり、お互いに自分達の子供を育成していく場合、これらの残した工場はその教育の場となってきます。


そこでは、経営と技術の両方を実践的に学べるからです。


大田区の工業は特殊な世界であるかもしれませんが、経営者育成の面ではいい意味でのギルド的要素を持っているところがあり、面白いですね。


これに関連して横須賀の工業について考えてみましょう。


横須賀はもともと港町であるので、大きな造船の工場があり、そこに依存する下請企業がたくさんありました。


この造船所群の一部はウォーターフロントの遊休施設になってしまい、いまその跡地をハミルトン ベンチュラなどブランド時計を売るショッピングセンターやリゾート施設に転用しようという話があります。


しかし一方で、旧軍時代のいろいろな施設が民間に解放されましたが、その一部を使って、日産自動車は大規模な工場と輸出基地をつくりあげました。


都市産業を考える 6

工業的土地利用を分析していくと、将来は工業的土地利用のなかに住宅や業務の機能を組み込んでいくことがますます必要になってきそうです。


同じ会社のなかでも、生産基盤は一階にして工作機械を置くけれども、立体化して三階にソフトウェア開発部門を置くというのはよくあることです。


・・・このように会社としての生産体制の質的変化は、経営者と従業員の世代交替という話題抜きには成立しません。


世代交替がうまくいかなければ、会社存立基盤が危なくなってきます。


おそらくその企業に若い労働者が定着するためには、都市的魅力が絶対必要になってくるでしょう。


仕事の誇りだけで地方の企業に若い人が移っていくことは期待できません。


それと同時に、仕事を発注する大企業や同業者の母体がいる地域社会でないと、彼らの仕事は成り立ちません。


これらの発注母体がどこに移動するかということによって、これらの先端産業型中小工場の立地傾向も変わってきます。


実際に、多摩川沿いの電子型産業は現在の工場内で増強される傾向にありますから、大田区の中小企業の受注先もこれらの工場に向けられます。


この流れから考えても、中小工場は大田区から離れ難くなってきます。


都市産業を考える 5

装置型の京浜地帯や千葉臨海地域の工場と、大田区に見られる30人や100人といった従業員規模の工場では、意味あいが全く異なります。


大田区に見られる職人芸的技術の一例に「しぼり」という特殊技術があります。


それによって東京駅の「銀の鈴」がつくられました。


また、ココムで問題になった原子力潜水艦のプロペラも、大田区にある技術力によってつくられたものです。


大田区の工場群は、多摩川の対岸の川崎市にある矢口や下丸子と付き合うことで、横型の情報交換ラインを確保できます。


大田区の工場主は、川崎にある大手企業の下請であるという責任感と、逆に彼らの二次下請として、川崎の矢口や下丸子の工場を対象にしているという自負心を持っています。


このように、縦型と横型の情報交換のラインアップの中に、自分達の位置付けをしているのです。


工業系をウォーターフロントのなかに位置づけていくといっても、工業系の内容をかなり細かい部分まで分析していかないと、体系的にまとめあげていけません。


大田区自体の工業地域のなかにも、工作機械の修理を主体とする工業形もありますし、少量一品生産の製品を基盤としている工業系もあります。


また、ソフト開発主体の工業系もあるのです。


都市産業を考える 4

これらの工場を地方へ持っていっても、世代交替ができるかというとそうはなりません。


確実に後継者がいなくなると思います。


やはり既成市街地でなければ、技術力は保存できないのではないかと思われます。


そういう意味で、将来の市街地形態は別としても、この機能は現在の湾岸地域のなかに残さなければなりません。


世の中はソフト化の流れに沿って動いていますが、この重要な製造能力を切り捨ててしまってはいけないのです。


アメリカが製造技術において弱体化してしまったのは、職人技能的生産力まで切り捨て、工業生産を外国に依存してしまったからでしょう。


生産力を切り離して国力を維持した国は、歴史のなかに存在しないのではないでしょうか。


ある程度の生産技術力を維持しながら、上澄みの部分にソフトを乗せていくというのが、日本の生き方なのではないでしょうか。


ソフトなシステムとハードな製品が融合したニューハードという生産物が、将来の産業構造を変えていくことになることは、周知のことです。


このニューハードの生産能力を高め、持続していける湾岸地域が存在していることによって、東京湾のウォーターフロントのイメージは画期的に高められているのです。


都市産業を考える 3

東京湾の工業地域といっても、墨田区、江東区、あるいは大田区など・・・


いわゆる中小企業が大手企業の手足となって働く地域と、大手企業そのものが立地する京浜工業地域とはその性格がちがい、それらは分けて考えないといけません。


大きい土地と設備を持つ巨大企業は力があるので、一見その土地利用は動かしがたいように思われるが、自らの意志によって工場移転が可能となります。


これらの巨大企業には地域を変えてゆく主体性と責任があります。


むしろ問題になるのは中小企業群が立地する湾岸地域でしょう。


たとえば大田区について考えてみます。


大田区には日本の先端企業の試作品製造を引き受けている中小・零細企業がネットワークとして多数存在しています。


このような中小・零細企業が、小さな企業規模、売り上げで生きながらえていられるのは、大田区に立地し、高密な情報交換が安い費用でできるからです。


また、そこには職人芸が生きています。


その職人芸によって試作品のような一品生産が出来るのです。


しかし、彼らはすでに高齢化しているので、その高度の職人的技術力を保存するためには、世代交替が円滑に進められなければなりません。


都市産業を考える 2

市川市の工業の性格は、ほとんどが都内の台所機能です。


海外や関西、京浜地区で生産したものをいったんここで陸揚げして細分化し、首都圏の工場へ供給しています。


市民生活に密着はしていませんが、市の立場としては、基本的に工業的な役割を市川市は将来とも受け持つべきだと思います。


製造機能をどこまで他に移すべきか現在、都市の日常生活にかかわる製品を製造する機能は、全部東南アジア諸国に持ってゆくべきであるとか・・・


日本においても過疎地域の企業誘致に応えてその機能を移転させるという議論がなされています。


しかし実際の動向は必ずしもそうではありません。


葛飾区や墨田区にみられるように、中小企業がそこに着実に根をはやしているのは、それだけの生産需要があるわけです。


このような生活密着型の都市機能を東南アジアや地方へ持ってゆけば、首都圏の機能は十分に満たされません。


もちろんその土地利用の形態や産業形態は時代の流れに応じて変わってゆくから、このような産業についても緩やかな転換を誘導してゆくことは当然でしょう。


しかし基本的には、東京湾岸地帯の中にそのような都市産業の役割と立地を位置付けておくべきでしょう。

都市産業を考える

都市産業とは、たとえば腕時計のベルトをつくったり、オモチャなど私達の生活に直結したいろいろな雑貨をつくっている分野です。


それは伝統的産業で先端的ではありません。


しかし絶対に消えない産業です。


これらの企業は墨田区・葛飾区や江東区の東側に分布しています。


市川市、大田区、横須賀を例として東京湾の2万4000ヘクタールの埋立地のうち、約1万ヘクタールくらいが工業用地、エネルギー関係の用地に使われています。


この工業用地が、今後どのように変わっていくかということについて、シンポジウム「東京湾のウォーターフロントを考える」で展開された議論を紹介しておきましょう。


その一つの事例として市川市の場合を取り上げます。


市川市の臨海部はほとんど工業専用地域のために、一般市民とは隔絶しています。

年間の工場出荷額が6300億円くらいあるが、市民にはまったくわからない感じで、工業的な機能が果たされています。


その工業活動のほとんどが湾岸道路や港湾機能に強く結びついています。


夜釣りの磯で

わたしは沖縄が大好きで、よく夏には沖縄ツアーで本島を訪れます。


今日は、そのときに聞いた話をひとつ紹介します。


漁師に魚釣りを習う木の精の物語です。


・・・あるところに鮫どんという男がおりました。


強い鮫どんの肌は、するどい貝やきりたった岩のかどにひっかけても、傷つきません。


鮫どんは毎晩、妻女のつくってくれた夜食をもち、気に入った漁場にでかけて漁をしました。


鮫どんの漁場は、他の漁師に知られないよう秘密にしていたのですが、ある晩、近くに人の居る気配を感じました。


「誰かな」


つぶやいた鮫どんは、じいっと目を凝らしてそちらを見定めました。


すると向うの人影も、こちらに向いて、じいっと息を凝らしているふうです。


「そこにいるのは鮫どんですか」


といったのは、細く透き通ったきれいな男の声でした。


「あれ、こんな声は聞いたことがないぞ。うちの村では聞かない声だぞ」


鮫どんは、なんとなく背すじが冷たくなりました。


「お前、誰だ。鮫どんて、おれの名を知ってるのか」


大声で言い返しました。


その人影は、鮫どんよりもさらに身軽く、向うの岩からこちらの岩へ飛び渡ってやってきました。


近づいてきたのをみるとたいそう細くて小柄な、少年のようでもあり老人のようでもあるめずらしい顔かたちの人でした・・・。

「もの知り志向」の人

一流の人には「モノ知り志向」があり、エセ一流の人には「モノ知らず志向」があると私は思います。


以前私は、ある国際ジャーナリストが企画したパーティーに、学生運動に詳しいルポライターとして招かれたことがあります。


そのとき、ある評論家や作曲家などから「全共闘運動の実状を教えてくれ」と、ずいぶん質問されたものです。


社会評論の分野では大先輩の氏が、メモ帳まで持ち出しながら、次々と質問を投げかけてきました。


また作曲家は「ボクのつくる曲は甘いものばかりだが、若い人のためにつくっているのだから、若い人たちの動きは何でも知っていたい」と、私の長い説明を辛抱つよく聞き入っていました。


この経験も、「一流の人はモノ知り志向が強い」という私の判断を証明してくれる材料と思われます。


ですから、派遣 千葉で働くビジネスウーマンあるいはキャリアウーマンが、現状においてときに「モノ知らず」であることは、特に問題はありません。


「モノ知り」を誇る男性側が、反省すべき点さえあるくらいなのです。


ただし、「モノ知り志向」を否定し、「モノ知らずでいいんだ」と居直ることは、「一流の人材への道」を自ら閉ざしてしまうことになりかねません。


「プロ意識」は、けっこうですが、「プロ意識の誇示」は、一流への道の「壁」となる危険性が大きい、といえるのです。


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